エル氏は、米国株投資をメインに資産1億円を築き、大手金融機関を早期退職した個人投資家です。
投資歴は約30年で、投資ブログ「【L】米国株投資実践日記」を運営する他、2021年には書籍「英語力・知識ゼロから始める! 【エル式】 米国株投資で1億円」を発売。
昨今の米国株ブームの煽りもあってか、FIREに成功したエル氏のブログや書籍への関心が高まっています。
そんなエル氏の評判を調べてみると、初心者から一定の評価を得ている一方、既に米国株投資をしている人からは「二番煎じ」といった口コミも見受けられました。
賛否両論、様々な評判が寄せられる"エル氏の早期リタイア成功の秘密に迫る"べく、同氏の銘柄選びのポイントや厳選米国株10銘柄について掘り下げます。
目次
口コミ評価が二分するエル氏の米国株投資法
米国株投資をきっかけに2019年に早期リタイアを果たし、その2年後に自身の体験談や投資術を書籍にて発売したエル氏。
同氏の書籍「英語力・知識ゼロから始める! 【エル式】 米国株投資で1億円」のコメントを見ると、主に投資初心者から評判を集めていることがわかります。
▼エル 米国株投資法の高評価口コミ
『米国株投資関連の入門書は何冊か読みましたが、そのなかでもけっこうわかりやすい部類に入る本ではないでしょうか。投資の入門書って「入門書」と銘打っていながらこまかい固有名詞とか専門用語が丁寧に説明されていなくて困惑することも多いのですが、この本の場合はそういったところに不満を感じることが少なかったです。』
Amazon
このコメントの他にも、「口座開設します」「米国株始めます」といった投資未経験者と思われる方の口コミも散見されました。
その一方で、エル氏の米国株投資法についてはこんなレビューも寄せられています。
▼エル 米国株投資法の低評価口コミ
『最近良く出版されている米国株・FIRE系の書籍と比較しても、中途半端な印象。初心者をターゲットとしているようだが、既に出版されているブロガーの本の方が内容としては分かりやすい。FIRE系としても二番煎じ。』
Amazon
米国株・FIRE系としても二番煎じとは‥なかなか厳しい評価ですね。
どうやらエル氏は『広瀬隆雄(じっちゃま)』と比較されているようです。
あと低評価レビューに共通していたのが「内容が薄い」という点。
私も書籍を実際に手に取りましたが、読み物としてはわかりやすく面白かったです。
ただ一方で、手法などに関しては低評価レビューにあるように「既に他の書籍や様々な投資ブログで見たことがある情報」という印象を受けました。
FIREを実現した【エル流】米国株投資術
まずエル氏の米国株投資は、シンプルかつ王道ともいえる投資法です。
発売されている本のタイトルにもあるように、「米国株投資を英語力・知識ゼロから始める」ための6つのポイントが以下になります。
▼米国株投資で失敗しないための6つのポイント
1.自分がよく知っている製品・サービスを扱っている
2.ポピュラーな企業で情報が入手しやすい
3.高い収益性・競争力がある
4.成長性が高い
5.10年以上にわたり、増配した実績がある
6.営業キャッシュフロー・マージンが20%以上ある
引用元:
Amazon
1つ目については、米国株のみならず日本株でもよく言われていることですね。
投資の神様『ウォーレン・バフェット』の言葉に、「投資先は自分が理解できるビジネスモデルに限るべきだ」というものがあります。
米国株を選ぶうえで、自分が普段からその企業のサービスや製品を利用しているか、エル氏は判断基準としているそうです。
実際に、エル氏は2005年に本が好きでAmazonをよく利用していた経緯から、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株を購入しています。
本人曰く、何度か売ったり買ったりを繰り返してるためAmazonの株価上昇の恩恵を全て受けているわけではないものの、今でも主力銘柄の1つだそうです。
2つ目は、米国株の魅力でもあるんですが、米国企業には世界を代表するIT企業などが多数存在します。
その中でもGAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)は、日本人でもほとんどの方が知ってる米国企業と言えるでしょう。
こういった著名企業の情報は日本でも比較的入手が簡単なため、英語が出来なくても安心して米国株投資が可能です。
※3つ目と4つ目に関しては、米国株投資を勧めているブログや書籍などで大方言われていることなので割愛。
5つ目の長期にわたる増配が行われているという点に関しては、エル氏が言うように確かに日本株よりも米国株に利があります。
当サイトでも先日、『日本株と米国株の違い』について検証しましたが、米国企業の連続増配年数のトップ9は、60年以上に渡り増配を続けています。
▼連続増配年数ランキング(米国株)
引用元:
投資の森
それに対して、日本企業は30年連続増配してる企業は花王のみです。
▼連続増配年数ランキング(日本株)
引用元:
ダイヤモンドZAI
上記画像はあくまでもこれまでの連続増配なので、今後も増え続けるとは限りませんが、増配=企業が成長し続けている証でもありますからね。
最後の営業キャッシュフローマージンは、企業の売上高に対し、どれだけの現金収支があったか。つまりどれくらいキャッシュで儲けが出ているかを表す指標です。
エル氏はこの営業キャッシュフロー・マージンが20%以上の企業を銘柄選びの基準としているようです。
ただ20%以上を継続出来ている企業を見つけるのはなかなか骨が折れます。
もし条件をクリアする銘柄がない場合は、一般的な目安とされている15%で見てみるといいかもしれません。
ざっと、エル流の米国株投資で失敗しないための6つのポイントを検証しましたが、ほとんどが一般的に知られる米国株の魅力紹介でした。
どれも正論なのでおかしくはないのですが、FIREを目指すという意味では少しタイトル負けしているかなという印象を受けます。
賛否両論、エル氏の米国株投資の評判が二分する背景には、王道だからこそのシンプルさと物足りなさが両立していることが関係していると言えそうです。
エル 米国株投資家のプロフィール
FIREを実現したエル氏の米国株投資術がわかったところで、次は同氏がどのようにして資産1億円を達成したのか。
エル氏の経歴(プロフィール)を見ていきます。
▼エル氏のプロフィール
1993年(25歳):株式投資スタート
※最初に買った株が新日鉄(現日本製鉄)
2008年(40歳):リーマンショックで資産が半分に
2008年(40歳):早期リタイアを決意
2015年(47歳):米国株への投資を本格化
2019年(51歳):資産1億円達成(早期退職)
2021年(53歳):書籍【エル式】 米国株投資で1億円を発売
米国株で大きな資産を手にしたエル氏ですが、もともとは日本株からのスタートだったようです。
新卒で入社した大手金融機関で、当時の上司から「社会勉強のために」と言われことがきっかけで株式投資を始めたエル氏。
ファーストリテイリングなどの個別株を始め、投資信託なども買っていたそうで、2008年頃には既に資産が数千万円に及んでいたそうです。
そんなエル氏を悲劇が襲います。リーマンショックです。
当時、ほとんどの資金を株式に回していたエル氏は、リーマンショックで資産を半分ほどにまで減らしてしまったとのこと。
ただこの時、下がった株を焦って狼狽売りしなかったことが功を奏します。
また株価が暴落し、普段買えない優良株が安く買えると判断したエル氏は、相場が戻ったときの反発を狙い逆に買い集めたそうです。
この判断により、エル氏は失った資産を1.2年ほどで取り返すことに成功します。
その後、2015年に米国株投資を本格的にスタート。そして4年後、エル氏が51歳のときに資産1億円を達成し、早期リタイアを実現します。
エル氏にとってFIREの大きな原動力となった米国株。
同氏の著書の中では『エル流 最強10銘柄』が公開されていました。
エル厳選!米国株最強10銘柄
エル氏厳選の最強米国株10銘柄は、同氏の投資経験や株価の上昇率、リスクなどさまざまなデータを解析し、導き出されたものだそうです。
▼エル流 最強米国株10銘柄
クレジット決済の世界トップブランド。時価総額は米国株12位(2022年2月現在)
2.ナイキ(NKE)
世界ナンバーワンのスポーツ用品メーカー。ブランド力と製品開発力魅力。
3.コストコ・ホールセール(COST)
有料会員制の小売り量販店。景気に左右されにくい生活必需品セクター。
4.ロッキード・マーチン(LMT)
米国最大手の軍用機メーカー。売り上げの約7割は米国政府向け。
5.マコーミック(MKC)
世界最大の調味料メーカー。米国だけでなく欧州でも高いシェアを誇る。
6.ホーム・デポ(HD)
世界最大のホームセンター。米国国内を中心に2,000店舗以上を展開。
7.ユニオン・パシフィック(UNP)
米国鉄道会社の最大手。人<モノを運ぶ事業がメイン。コロナの影響が少ない。
8.ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
世界最大のヘルスケア企業。医療保険ビジネスと医療情報サービスがメイン。
9.ダナハー(DHR)
医療関連事業をメインとする複合企業。時価総額は17兆円以上。
10.チャーチ・アンド・ドワイト(CHD)
重曹、洗剤、漂白剤など80以上のブランドを展開する米国の日用品製造会社。
ビザやナイキ、コストコといったなじみのある企業から、日本ではあまり知られていない軍用機メーカーなど様々な業種の銘柄が並んでいます。
エル氏曰く、GAFAMや半導体関連のIT銘柄などは除外しているそうです。
まあ紹介しなくとも、投資家なら目を向けているだろうということなんでしょう。
実際にエル氏は、上記10銘柄全てに3万ドル以上投資しているとのこと。
また2021年のダイアモンドZAIの取材で、エル氏は「成長が望める『ITセクター』と、大きな成長は望めなくても景気変動に左右されにくい『生活必需品セクター』の投資配分を同等にする」と発言しています。
つまりは成長が見込めるグロース株と、安定した業績が期待できるディフェンシブ株を均等に保有するスタイルをとっているということがわかります。
先日、当サイトで検証した元フォーブストップ20に選出された『竹村尚子』さんは、長期成長株へのスイングトレードという攻めの戦略を取っていました。
それと比較すると、エル氏は攻めと守りを両立した運用スタイルと言えるでしょう。
正直いってどちらが良い悪いはありません。
大切なことは自分にはどっちの運用スタイルが合っているかです。
知見を広げる意味でも、エル氏だけでなく様々な投資家の投資手法に目を向けてみるのもいいでしょう。
▼著名投資家(対象:米国株)
・元日経新聞エース記者『後藤達也』
・東大卒の米国株投資家『東大バフェット』
・YouTubeで話題を集める『ライオン兄さん』
投資家エル 日米株の保有比率は[7:3]と判明
これまでエル氏の米国株投資について触れてきましたが、あくまで米国株の比率が多いというだけで、日本株に投資をしていないわけではありません。
エル氏曰く、退職後に日本株を多く買ったこともあり、2019年には日本株で2,000万円ほどの利益を手にしたそうです。
現在は保有比率を米国株7対日本株3ほどにしており、米国株は長期保有メイン、日本株は長期保有前提のものもあれば、短期で値上がりを狙うケースもあるとのこと。
昔から「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」と言われているように、日本株と米国株は連動的に動く傾向があります。
つまり『日本株と米国株のどちらか』に投資するのではなく、双方に投資することで、市況の変化や銘柄の選定にプラスの影響が出てくるわけです。
もしかすると、そういった相関関係も含めて、エル氏は日米株双方に分散投資をしているのかもしれません。
まあ個別株の上昇率でみれば、日本株も米国株に引けを取らないんですけどね。
米国株にだけしか目を向けてないという方は、改めてもう一度日本株に目を向けてみると良いでしょう。
実際に2021年末のトウシルのインタビューでエル氏は、2022年は「米国株よりも日本株に期待」なんてことも言ってますからね。
エルが2022年に注目する2つの日米株
エル氏が2022年に注目する2大銘柄の1つは、ソニーグループ(6758)です。
日本人なら知らない人はいないであろうソニーグループは、ゲーム、音楽、映画、半導体関連、金融といった様々な分野で活躍を続けています。
時価総額はトヨタに次ぐ第2位と、日本を代表する企業と言えます。
2つ目は米国株で、書籍でも紹介されていたコストコ・ホールセール(COST)です。
コストコと言えば有会員制の小売販売点。読者の皆さんの中にも会員という方がいらっしゃるかもしれません。
小売りチェーンであるコストコ・ホールセール(COST)は、IT関連株などと比較して値動きが大きくありません。
また企業としてもしっかりと成長を続けているので、エル氏が言うように投資初心者でも安心して保有が可能です。
あくまで長期前提ですが、これから投資を始めてみようと考えている人はコストコ・ホールセール(COST)の株を1株買ってみるというのは悪くない選択でしょう。
ただ“短期間で値上がりする有望株への投資”がしたいという方には向きません。
短期的な上昇が期待できる銘柄の選定には、市場の変化や材料、テーマなど様々な要因を解析し、答えを導き出す必要があります。
エル氏の動向が分かるブログと寄稿メディア
エル氏は個人投資家としての活動以外にも、投資ブログでの情報発信や、大手メディアへの記事の寄稿なども行っています。
その中でも一定の頻度で更新がされてるのが、エル氏の投資ブログ『【L】米国株投資実践日記』です。
だいたい月に10~20回ほどの更新で、内容はエル氏の相場動向に関する見解から、本の宣伝など様々です。
ブログでは、セミリタイア後のエル氏の生活などが垣間見えるので、書籍の購入などを検討している方は一度見てみるといいかと思います。
またエル氏はオンライン投資スクールの『投資の達人になる投資講座』を運営する『グローバルファイナンシャルスクール』でも講義をしています。
このグローバルファイナンシャルスクールでは、エル氏以外にも『上岡正明』さんといった個人投資家も講師として在籍しています。
当サイトでも『GFSの評判』について、ネット上にある100件以上の口コミから調査しているので、宜しければ当記事と併せてご覧ください。
エル 米国株投資のまとめ
2019年に51歳で資産1億円を達成し早期リタイア(FIRE)を実現したエル氏。
そんなエル氏の米国株投資術について調べてみると、同氏が販売した書籍には賛否両論様々な評判が寄せられていることが明らかになりました。
▼エル 米国株投資の評判
【良い評判】
・初心者でもわかりやすい
・入門書としては素晴らしい
【悪い評判】
・広瀬隆雄の二番煎じ
・内容が薄い
評価が二分した背景には、エル氏の米国株投資術が「正論で王道だった」ことが関係していたと考えられます。
もしエル氏の書籍のタイトルが「米国株入門書」というタイトルであれば、ここまで評価が分かれることはなかったかもしれませんからね。
実際に入門書という位置づけでは高い評価を得ているわけなので、これから米国株投資を始めてみようと考えている方は一読してみるのもありでしょう。
エルさんの書籍は入門編にぴったりですよ、米国株なんて全く分からなかったところだったので参考になりました。確かに他の本に買いてある内容と被る点も勿論あると思いますが、私はこの一冊で良かったと思ってますね。
エルさんの考察は頼りにしてます。もっと個別銘柄について呟いてほしい気持ちがあるくらいですよ。米国株だけではなく、今後は国内の個別銘柄にも目を向けていきたいんですよね。
日本の上場企業は、実質「死に体」なのに淘汰されず、いつまでも、ただ上場しているだけ、というのも多い。ってエルさんのツイート、本当にそう思う。上場しているだけで中身のない企業の多いこと。やっぱり米国株なんかなあ。
米国株ブームも前ほどじゃなくなったけど成長性考えればまだ日本株買うよりいいよな。岸田が首相やってるうちはダメだよ日本は。
本読みました。
もう少しエルさんには個別銘柄について触れてほしいなと個人的には思っています。ので米国株辛口ジャッジは欠かさずチェックしてます。今度書籍を出す時は個別銘柄の判断基準についてなど、深く知れるものだと嬉しいですね。
んー本買わなくてもネットの情報見てればだいたいいかなーって内容だったかな。。本として売るならもう少し掘り下げてほしい。最近こういうさわりだけの本が多くてなかなかあたり本が見つからない。
エルさんの本の内容を二番煎じだというレビューがありましたが、二番煎じだと思う人はほんの購買予定の層ではなかったんだと思いますね。成功者がやっている内容ということだと思うんですがね。
日本株も買っているというから、米国株だけじゃなく日本株にも目を向けてみようと思います。日本の投資家はあまり国内に目を向けていないそうですが、だからこそというのはありますよね。
エルさんの本、読了。米国株投資のススメがギュッと詰まった名著でした!個人的にはSTEP4の「年代別FIREシミュレーション」とでも言うべきパートがとても秀逸で、資産形成の背中を押してもらえるような気がしましたね。