著しい成長を遂げている企業の俗称、ハイパーグロース株。
短期間で株価5倍10倍を狙える銘柄群であるとして多くの有名人が言及することも増えました。
実際株価が3倍、5倍、10倍となった例は多く、強烈な投資対象としての魅力を持っていることは間違いありません。
そんなハイパーグロース株とはそもそもなんぞや、投資のリスクや特徴は?について説明していきます。
目次
ハイパーグロース株とは
ハイパーグロース株とは自動車のテスラ、写真共有サービスのピンタレストのような成長著しい企業のことを言います。
主に売上高が成長している企業を指し、年40%以上の成長が基準とされていますが実際は40%を下回っていてもハイパーグロース株と呼ばれることが多いです。
▼世界経済フォーラムによる定義
・成長率が前年比40%以上の会社
while 33% of participating companies had experience with hypergrowth, defined as > 40 % CAGR.(参加企業の33%は、> 40%CAGRとして定義される超成長の経験がありました。)
また成長率20%~40%がラピッドグロース、成長率20%未満がノーマルグロースとも定義づけされています。
近年の成長著しい企業のほとんどがITやハイテクなので、ハイパーグロース株≒IT、ハイテク株という認識も持たれていますが、ITやハイテクであることは定義に含まれません。
よって代表的なハイパーグロース株として挙げられている銘柄の中にはIT、ハイテクセクターでない銘柄もあります。
▼代表的なハイパーグロース株
・テスラ(TSLA)
・ピンタレスト(PINS)
・ズームビデオ(ZM)
・ファイバー(FVRR)
・オクタ(OKTA)
・グリーンサムインダストリーズ(GTII)
グリーンサムインダストリーズ(GTII)は製薬会社ですが、ハイパーグロース株として挙げられることがある銘柄です。
また一度ハイパーグロース株として認識されれば、成長率が下がったとしてもハイパーグロース株として扱われることも特徴的です。
ハイパーグロース株は最近よく話題に上がるが儲かるのか?
ハイパーグロース株の今後ですが、今からは冬の時代と言えます。
2022年の春くらいまでは2年で10倍20倍に右肩上がりの株価上昇を続けてきている銘柄がいくつかあり注目されましたが、金利上昇局面が加速するこれからは株価上昇は難しいでしょう。
特に2022年8月26日にパウエル議長が今後さらに高金利を維持する可能性が高いことを示唆したので、強い逆風が続くと思われます。
金利が上昇するとIT、ハイテク株系は株価低迷しやすいからです。
ハイテク系の企業は未来に期待して銀行から多額のお金を借りることが多いですが、金利上昇局面では返済額が大きくなることで利益率が大きく下がったり、PERが非常に低くなったりで売られてしまうのです。
よって金利上昇が続くうちは儲かる銘柄とはいえないのではないかと思います。
高金利が収まったらハイパーグロース株は上がる?
金利が下がればハイパーグロース株が株価上昇する可能性は十分あります。
それを見越して価格が下がった今ハイパーグロース株を買うことも止めはしません。
しかし再びハイパーグロース株が日の目を見るのは1年後か、3年後か、5年後か。
それをじっと待てる方ならいいのではないでしょうか。ただし投資は自己責任でお願いします。
ハイパーグロース株の値動きの傾向
ハイパーグロース株は圧倒的な企業としての成長スピードにより、短期での値上がりを期待できます。
2~3年で数倍~20倍という通常なら何十年とかかるような値上がり幅をあっという間に成し遂げてしまいます。
反対に価格が下がるときもあっという間です。
ハイパーグロース株は将来への期待や急激な値上がりが続くと信用しての投資も多く、一度下がり始めれば手のひらを返したように投資家は手を引きます。
最近の金利上昇局面での株価がわかりやすい例ですね。
▼ピンタレストの株価
たった半年ほどで株価8倍以上になったピンタレストですが、金利上昇局面に入ってから急落。たった1年で株価4分の1ほどにまで下がりました。
このように通常ではありえない値上がりを期待出来る反面、あり得ないような下落も起きてしまうのがハイパーグロース株なのです。
ではハイパーグロース株のメリットとデメリットとしてまとめてみましょう。
ハイパーグロース株のメリット
ハイパーグロース株のメリットは、急成長する銘柄であるがゆえに、株価も短期で急騰しやすいということです。
今回日本のハイパーグロース銘柄としてご紹介した5銘柄も、1~2年という短い間にどれも株価が3倍~10倍以上と急成長しており、うち2銘柄がテンバガーとなっています。
高値を更新し続けており、成長銘柄の1つと言われているS&P500でも、株価が2倍になるのに約4年半かかっていることを考えると、いかにハイバーグロース株が急騰しやすい銘柄であるかは一目瞭然といえます。
ハイパーグロース株のデメリット
ハイパーグロース株のデメリット1つめは、例え成長が続いていたとしても成長率が高いか低いかで株価が大きく上下することです。
成長しているのに株価が下がってしまうというのはハイパーグロース株ゆえのデメリットともいえ、それだけ投資家の期待が高いことを意味します。
ただの成長ではなく「大きく成長し続ける」銘柄を持ち続けるのは、なかなか難しいことですので、一旦大きく上がったら利確を検討するのもよいでしょう。
ハイパーグロース株のデメリット2つめはインフレや高金利に弱いということです。
金利が上がるというだけで、今の業績に関係なく「今後成長が鈍化するであろう」と売られ始めるので、決算だけでなく景気の動向にも常にアンテナを張っておく必要があります。
最後にハイパーグロース株の条件に当てはまる銘柄をスクリーニングして出てきた銘柄を紹介していきます。
ハイパーグロース株の条件
ハイパーグロース株は一般的に成長率が40%以上の銘柄とされています。
企業が健全に成長しているかどうかを見る際には、売上高だけではなく、営業利益や純利益などの成長も合わせてみた方がよいでしょう。
さらに1期だけの成長ではなく、それが継続的に続いているかという点の確認も必要です。
これらを満たすハイパーグロース株の条件は以下のものが考えられます。
・売上高成長率(前々期→前期)40%以上
・営業利益高成長率(前々期→前期)40%以上
・純利益成長率(前々期→前期)40%以上
・売上高成長率(FY2→前々期)40%以上
・営業利益高成長率(FY2→前々期)40%以上
・純利益成長率(FY2→前々期)40%以上
ハイパーグロース株の例
先に出した、健全に成長しているハイパーグロース株の条件でスクリーニングをかけて出てきた5銘柄をご紹介します。
▼ハイパーグロース株の例
・SHIFT(3697)
・アンビスHD(7071)
・ケアネット(2150)
・キャリアリンク(6070)
・イノベーション(3970)
下記それぞれの企業の業績も載せておきます(※株価、時価総額は全て2022/8/15時点のもの)
SHIFT(3697)
ソフトウェアテストの受託事業を柱に、品質保証や関連コンサルなど周辺分野も手掛ける。
株価:21,610円
時価総額:3,808 億円
2年平均売上成長率:54%
2年平均売上利益成長率:61%
2年平均経常利益成長率:70%
アンビスHD(7071)
慢性期、終末期の看護ケアに特化し、医療施設型ホスピス「医心館」を展開。
株価:5,290円
時価総額:2,569 億円
2年平均売上成長率:69%
2年平均売上利益成長率:104%
2年平均経常利益成長率:109%
ケアネット(2150)
医師向け情報サイトの運営。情報サイトを通じた製薬の営業支援やDVD、動画配信による医師教育コンテンツの提供。
株価:1,196円
時価総額:530 億円
2年平均売上成長率:57%
2年平均売上利益成長率:109%
2年平均経常利益成長率:90%
キャリアリンク(6070)
官公庁、大手企業への人材派遣を主軸に、製造、技術、物流系業務への人材派遣、業務請負、人材紹介なども行う。
株価:2,521円
時価総額:298 億円
2年平均売上成長率:43%
2年平均売上利益成長率:178%
2年平均経常利益成長率:171%
イノベーション(3970)
BtoBに特化した、営業・マーケティング支援会社。IT製品比較、資料請求サイトを運営。
株価:2,430円
時価総額:60 億円
2年平均売上成長率:47%
2年平均売上利益成長率:123%
2年平均経常利益成長率:135%
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