目次
フィデリティ証券は投資信託に強みのある証券会社。
投資信託は購入手数料無料でパイオニア的存在ですが、楽天証券への事業譲渡が決定し、サービスが移管されます。
そこでこの記事では、楽天証券への事業譲渡を徹底解説。
どのような形で移管になるのかや、移管後にはどうなるのかが分かるため、知りたかった疑問が全部解決できます。
フィデリティ証券とは?
フィデリティ証券は世界中で資産運用を展開する「フィデリティ・インターナショナル」の一員であり、1998年に設立された外資系の証券会社。
おもに投資信託と株式の売買が行えます。
フィデリティ証券株式会社の概要
フィデリティ証券を運営するのは「フィデリティ証券株式会社」となり、会社情報は次のとおり。
商号 | フィデリティ証券株式会社 |
本店所在地 | 東京都港区六本木7丁目7番7号 |
登録番号等 | 関東財務局長(金商)第152号金融商品取引業者金融商品取引業の種別:第一種金融商品取引業 投資助言・代理業 |
資本金 | 126億5750万円(2023年5月26日現在) |
代表者名 | 代表取締役社長 コルビー・ペンゾーン |
加入している投資者保護基金 | 日本投資者保護基金 |
加入している金融商品取引業協会 | 日本証券業協会一般社団法人 日本投資顧問業協会 |
役職員数 | 148名(2023年12月末現在) |
会社情報に関してはとくに問題ありません。
そもそもフィデリティ証券は運営母体が明確な会社ですので、安心できます。
投資信託に大きな強み
フィデリティ証券の強みは投資信託です。
グループ会社のフィデリティ投資を含めて約700本の投資信託を取り扱っています。
投資信託の情報が非常に充実しており、テーマや各ファンドの格付けなど、細かく指定して選べるのが特徴。
例えば、「インフレを乗りきるためにどのような運用をすればいいのか?」と疑問があったとき、以下のようにどんな投資信託を選べばいいのかの情報があります。
このような情報が豊富にあるため、自分にあった投資信託を見つけやすいです。
また、定期的にオンラインセミナーを開催しており、ファンドについて勉強もできます。
その他、フィデリティ証券では以下のサービスも展開。
- ザ・ハイブリッド
- 株式・ETFの売買
- ETN・REITの売買
ザ・ハイブリッドは、運用のプロとロボットが利用者に最適な分散投資をしてくれる「おまかせ運用サービス」。
利用前に簡単な質問に答えるだけで、自分に合った銘柄選択や運用方針を決定し、運用からメンテナンスまですべておまかせできます。
その中に、担当者が付いてアドバイスが受けられるコースと、ネット完結の2つのコースがあります。
- アドバイス担当者付きコース
手数料:総資産額に対して年率0.94%~0.99%程度、加えて投資顧問契約にかかる投資顧問報酬年率0.55%(税込)
- ネット完結コース
手数料:総資産額に対して年率0.94%~0.99%程度
他の証券会社と同様に株式やETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、REIT(不動産投資信託)の売買もできます。
購入時手数料は無料
フィデリティ証券は、投資信託を購入する際の手数料がすべて無料というメリットがあります。
ノーロード以外の投資信託を購入すると、その日の基準価格に対して2〜3%の手数料が発生するケースがあるため、投資金額が減ってしまうのです。
しかし、フィデリティ証券ならどの投資信託でも手数料無料で購入できるため、100%のお金を投資でき、大きなメリットです。
実際、フィデリティ証券の口コミを見るとこの部分に魅力を感じて利用しているという人が多かったです。
なお、株式・ETF・ETN・REITの売買には手数料が発生します。
手数料の種類 | 手数料 |
---|---|
通常手数料(優遇評価残高1,000万円未満) | 1約定あたり一律1,500円(税込) |
優遇手数料(優遇評価残高1,000万円以上) | 1約定あたり一律500円(税込) |
電話取引手数料 | 1約定あたり 一律10,000円(税込) |
フィデリティ証券が撤退?楽天証券へ事業譲渡
フィデリティ証券は個人向けのサービスが楽天証券に事業譲渡となります。
それに伴い、運用していた資産がどうなるのかなどいろいろと疑問があるかと思うため、ここではフィデリティ証券の事業譲渡について詳しく解説します。
2025年1月1日から全て移管
まず、事業譲渡の時期は2025年1月1日です。
- 入金:2024年12月26日(木)15時まで
- 出金:2024年12月27日(金)15時まで
- マイページログイン:2024年12月30日(月)27時30分まで
フィデリティ証券の利用ができるのは2024年12月30日の27時30分まで。
2025年1月1日時点で会社分割し、個人向け金融商品販売事業を楽天証券へ移管されます。
よって、フィデリティ証券の証券総合口座(特定、一般、NISA)で運用していた資産はすべて楽天証券に引き渡される予定です。
保有資産の取得額は移管時の取得額が引継ぎされます。
楽天証券で同じ商品を保有しているときは移管後に残高が合算される予定ですので、フィデリティ証券と楽天証券の商品は別々に表示されません。
口座解約などの手続きは必要?
楽天証券への移管に関して手続きは一切不要。
すべてフィデリティ証券と楽天証券が行ってくれます。
NISA口座(新NISA、旧NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)に関しても、自動移管されます。
詳細は後ほど案内が届きますのでそちらをご確認ください。
既に終了・終了予定のサービス
以下のサービスは楽天証券への移管に伴い、終了・終了予定です。
サービス名 | 新規・変更・停止 | 終了日 |
---|---|---|
自動定期入金 | 2024年11月29日(金)16時まで | 2024年12月2日(月) |
自動定期出金 | 2024年11月28日(木)17時まで | 2024年11月28日(木) |
分配金コース変更 | 2024年9月19日(木)17時まで | 2024年9月19日(木) |
ザ・ハイブリッド | – | 2024年8月8日 |
MRF(マネー・リザーブ・ファンド) | – | 2024年10月28日 |
上記のサービスは、楽天証券移管後は利用できません。
なお、以下の2つに関しては楽天証券に引き継ぐ予定。
- 自動定期売却(2024年12月30日(月)申込分まで)
- 分配金自動振込(2024年12月27日(金)申込分まで)
サービス引継ぎの詳細に関しては該当する人であれば、案内のお知らせを送るとのことですのでそちらをご確認ください。
フィデリティ証券の評判
フィデリティ証券が投資家からどのような評価を受けているのかは気になるところ。
そこで、評判を確認していきましょう。
良い口コミ
口コミを確認すると投資信託に関しての高評価が多かったです。
- すべての投資信託を手数料無料で買えるのが魅力的
- いろんなデータが揃っていて自分に合った商品を選択しやすい
- 自社と他社含めて取扱いファンドが多い
- カスタマーサポートのスタッフの知識も高くて満足
とくに投資信託の購入手数料が無料になる部分は非常に高評価。
退職金や相続でまとまったお金が入った人、積立投資をはじめたい人、そんな投資信託デビューにおすすめの証券会社と多くの人が評価していました。
悪い口コミ
ほとんど悪い口コミは見当たらなかったです。
ただし、現在はノーロードで買える投資信託が増えており、楽天証券やSBI証券でも投資信託は手数料無料で購入できるため、利用価値が減っているとの声も。
また、株式の取引手数料が発生するのがデメリットとの声もありました。
1約定あたり500円または1,500円(電話取引は10,000円)の手数料が発生しますが、現在だと手数料無料で取引できる証券会社は存在します。
例えば、以下の5社だと「1日定額プラン」を利用すれば手数料無料で利用可能。
証券会社 | 手数料無料の条件 |
---|---|
楽天証券 | すべて無料(取引報告書を「電子交付」に設定している場合) |
SBI証券 | すべて無料(ゼロコースの場合) |
SBIネオトレード証券 | 1日の約定代金100万円まで無料 |
GMOクリック証券 | 1日の約定代金100万円まで無料 |
auカブコム証券 | 1日の約定代金100万円まで無料 |
上記のような株式の取引手数料無料プランを提供している証券会社も多いです。
フィデリティ証券は「古い!昔は良かったけどもう時代に取り残されてる」という意見がありました。
投資初心者の口コミが良かった
フィデリティ証券は投資信託の購入環境に優れており、とくに初心者からの高評価が多数。
「全ての投資信託を手数料無料で購入できるのが嬉しい」と評価されており、長期投資時のコストを抑えられる証券会社だと支持されています。
その一方で、以下のような指摘もありました。
- 投資信託を無料で購入できる会社は他にもある
- サービスが保守的で時代の変化に対応しきれていない
- 投資信託を主軸にしているため株式取引の手数料がやや高い
投資信託で購入手数料無料のパイオニア的存在でしたが、今では他社も同じサービスを提供しているところがあるため、珍しく無くなっています。
とはいえ、フィデリティ証券はシンプルで使いやすいと好評の証券会社。
楽天証券への移管によってサービスが無くなってしまうのは残念だと告げている人が多くいました。
フィデリティ証券が移管後も使うべきか?
楽天証券への移管に伴い、終了・終了予定以外のサービスはそのまま引継ぎされる予定。
では、継続して使うべきかですが基本的にそのままで良いと考えます。
楽天証券はフィデリティ証券と同じく投資信託の購入手数料無料であり、移管後に資産の価格が変わるわけでもありません。
また、株式に関しては楽天証券のほうが手数料無料コースがあるなど優れています。
お金が必要なので換金したいときなどでもない限り、移管後も継続して運用しておくと良いでしょう。
ただし、一部の商品に関しては移管後に運用方針等が変わる可能性があり、その場合はフィデリティ証券から案内が届きます。
その変更に納得いかないときは解約がおすすめです。