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「ジム・クレイマー氏の投資本が高値で取引されているのはなぜ?」
「クレイマー氏の投資についての情報は参考になるの?」
米国株に興味のある方は、投資情報番組の司会者であるジム・クレイマー氏について、銘柄選びの参考になるのかわからず、悩んでいる方もいるでしょう。
本記事は、ジム・クレイマー氏の本や保有銘柄、評判について解説。
最後まで読めば、あなたが投資で損をするリスクをおさえられますよ。
ジム・クレイマーとは?
ジム・クレイマー氏は、アメリカでヘッジファンドマネージャーを務めていた投資家。
ここでは彼がどのような人物なのかを5つの項目で解説します。
米国出身の元ヘッジファンドマネージャー
ジム・クレイマー氏は代表を務めた投資運用会社「クレイマー・バーコウィッツ」の元ファンドマネージャー(投資信託の運用を指揮する専門家)。
彼は2001年に引退するまでの14年間で、年率平均24%で資金を運用した実績があります。
運用を担当していた時代のS&P500の年率平均は約5.7%。
2001年のITバブル崩壊期には-11%に落ち込んだのにもかかわらず、ジム・クレイマー氏は36%の驚異的なリターンを上げています。
彼の敏腕さが注目され、数々のメディアで投資情報を発信するきっかけとなりました。
主な経歴
ジム・クレイマーの主な経歴は以下のとおり。
1955年 | ペンシルバニア州ウィンドモアで誕生(現在69歳) |
1977年 | ハーバード大学(政治学)を卒業地方紙などの記者を務める |
1984年 | ハーバード法科大学院を卒業ゴールドマン・サックス(金融系グループ)に入社 |
1987年 | ヘッジファンド会社「クレイマー・バーコウィッツ」を設立 |
1990年代後半~ | CNBCにゲストコメンテーターとして出演 |
2001年 | ヘッジファンドでの投資運用を引退 |
2002~2005年 | 投資番組「Kudlow & Cramer」で番組司会を務める |
2005年~ | CNBCのTV番組「Mad Money」で投資情報を発信 |
ヘッジファンド引退後は「より良い投資家になるための知識とツール」を発信するためにテレビ出演して投資情報の発信をスタートさせました。
2024年11月現在も、「Mad Money」に出演し、世界中の投資家から注目を集めています。
資産はどれくらい?
敏腕投資家のジム・クレイマー氏の資産について調査しましたが、公式な情報は公開されておらず、どれくらいの資産を保有しているかについてはっきりとわかりません。
ちなみに2024年の長者番付では、ユニクロの創始者である柳井正氏が、29位にランクインしており、彼の資産は428億ドル(6兆4200億円)。
クレイマー氏の資産は428億円以下と言えるでしょう。
まかべえのYouTubeでも取り上げられる
MakabeeのYouTubeチャンネル(チャンネル登録者数が約7.5万人)では、Mad Moneyでクレイマー氏が述べた内容について解説。
2024年11月25日のMad Moneyにて、クレイマー氏は以下について解説しました。
- アメリカの現在の市場(トレンド)について
- トランプ大統領の政策が、市場にどう影響するか
- 新しい財務長官がどのような人物で、市場にどう影響するか
結論としてクレイマー氏は「アメリカの今後の経済において、トランプ氏は素晴らしい人選をした」と述べています。
Makabeeの米国株チャンネルでは、Mad Moneyの最新解説(日本語版)をいち早くチェック可能。
番組で述べた内容の解説だけでなく、動画の最後には彼が推奨する銘柄についても3つほど紹介されています。
一般公開動画は、2日おきに配信。
また、メンバー限定(990円~2,990円/月)では、一般公開動画よりもやや尖った内容となっているようです。
投資助言や銘柄推奨はありませんが、米国株投資に興味がある方にとっては有益な内容が限定公開されています。
投資戦略のセクターローテーション
ジム・クレイマー氏は2024年1月に、セクターローテーションの可能性を示しました。
セクターローテンションとは、景気の変動に合わせて値上がりが予想される業種(セクター)に投資対象を切り替える投資戦略。
クレイマー氏は今後ハイテク株が下がり、金融政策を先回りする形で食品業界や製紙業界などが上がると述べました。
投資家たちには、他の投資家が「マグニフィセント・セブン」から遠ざかるのを待ってから買うようにとアドバイス。
有名なマグニフィセント・セブン(高成長のハイテク企業の集まりを表す言葉)は、2024年に不安定な状況の中で始まり、その年の最初の取引セッションで時価総額が2,500億ドルも下落しています。
また、クレイマ―氏の著書を参考に、セクターローテーションの勉強をし、相場全体の理解を深める個人投資家もいるようです。
セクターローテーションを参考に追加編集し、業績→逆金融→逆業績→金融を合わせて図にしました。
ジム・クレイマーの株式投資大作戦が再熱
新NISAや株高のトレンドもあり、投資をスタートする人が多くなる中で、クレイマー氏の著書が注目を集めています。
ここでは、再熱している著書について解説します。
2006年7月初版の投資本
「全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦」は、20年以上も前に書かれた本。
しかし、市場・人間の心理は今も変わらず、これから投資をスタートする人にとっても参考となる内容となっています。
株式投資で稼ぐためのポイントがまとめられた400ページの骨太な1冊で、短期的にすぐに利益を上げたい人にも、長期投資で着実に利益を得たい人にも、どちらにも実践的な情報が書かれています。
短期的に利益を上げる10の方法は、合理的な投機(将来の価格変動を予想し、価格差から生じる利益を目的に行う売買取引)をする心構え。
多くの投資本では「投機はダメ」と書かれていますが、クレイマー氏によれば投機はルールを守れば決して否定すべきではないものと記されています。
また、「長期投資はどんな投資より高いパフォーマンスをもたらすのに、ほとんどの人がじっと我慢できない」と述べられており、長期投資を成功させるための大事な25のルールが紹介されています。
「ホームワークの重要性」についての要約
著書の最大のポイントは、「銘柄を買う前も買った後も、しっかりとホームワーク(分析)すること」。
6章の「バイ・アンド・ホールド(持ち続ける)ではなく、バイ・アンド・ホームワークだ」について要約すると以下の内容となります。
ホームワークのゴール(目標)は「他人には無い独自の視点やポジションを見つけていくこと」です。
買った銘柄1つにつき、1習慣で1時間は勉強(分析)が必要となります。
よって、銘柄が多すぎると勉強が大変になるので、5~10個の分散投資をおすすめします。
企業の公開情報だけでなく、実際にサービスを使ってみたり、店舗に足を運んでみたりして、現地の生の情報を取り入れることが重要。
もし、こういったホームワークができなければ、インデックスファンドでほったらかし投資をおすすめします。
この本を読んでわかることは、株式投資で稼ぐには「入念な分析」が必要だということです。
個別銘柄をテレビやSNSの情報を鵜呑みにして、勉強なしに買ってはいけないですし、ただ持っているだけでもダメだと言います。
銘柄分析は慣れてしまえば習慣の1つになりますが、慣れるまでが大変。
その覚悟があって株式投資で稼ぐスキルを身につけたい人は、この1冊を読んで詳しいノウハウを学んでみてはいかがでしょうか。
メルカリなど中古は高値で取引
多くの個人投資家が注目する「ジム・クレイマ―の株式投資大作戦」は、現在メルカリなどで中古でもおよそ40,000円の価格で取引されています。
37,000円以下の本は、すべて売り切れ状態。
Amazonでは、39,680円から販売されています。(2024年11月末現在)
レビューには以下の投稿があります。
- 米国人向けだが、投資のエッセンスとして良書
- 自分の投資スタイルに良い影響を与えてくれた1冊
- ボリュームがあるが、分かりやすく丁寧に説明されている
400ページ以上のボリュームがありますが、大切な内容が各章で区切られていて、初心者でもわかりやすく解説されているとの口コミがありました。
X(Twitter)でも、個人投資家がこの本をおすすめしています。
この本を読みたい個人投資家に向けて「値下がりした!」「今が買い時!」と、購入を勧める投稿も見られました。
20年以上前の本なので、図書館で貸し出されている可能性もあります。
読んでみたい方は、近くの図書館でも探してみてはいかがでしょうか。
ジム・クレイマーの銘柄を調査
ジム・クレイマーはMad Moneyで注目すべき銘柄を解説。
ここでは、クレイマー氏が保有する銘柄がどのような成績なのかを見ていきましょう。
現在の保有銘柄
クレイマー氏は経済の好況・不況を見定めて銘柄を選定しているため、大統領選挙が終わった現在、どのような銘柄を保有しているのか定かではありません。
しかし、2023年8月に保有が確認された「Linde(リンデ)」という化学品企業の株を、2024年11月25日のMad Moneyでも推奨しているため、現在も保有していると考えられます。
2024年11月29日現在のLindeの株価は、457ドル(68,641円)。
銘柄のパフォーマンスは?
2023年8月3日にLindeの銘柄を保有していることが確認されているので、現在も保有していれば1株あたり87ドル(13,000円)以上のプラスになっています。
一方で、2024年11月25日に注目すべき銘柄として取り上げたテトラ・テックの株価は、11月半ばに大きく下落。
クレイマー氏は「私は実際、TTEKを売るのではなく買うつもりです。」と述べているので、現在もテトラテックも保有していることがわかります。
今後上がることを見込んで、株価が大きく下がったこのタイミングで買い増しする予定だと述べています。
順調な銘柄もあれば大きく下落する銘柄もあり
クレイマー氏が保有する銘柄は、順調に株価が上昇しているものもあれば、大きく下落を迎えるものも存在。
とはいえ、分散投資をしているので、下落した銘柄があったとしても「焦って売る」といった行動はとらず、冷静に対応している様子です。
著書では、4章で「事業は傷んでいないのに株価が傷んでいる銘柄を探せ」と述べており、暴落時に買いたい銘柄リストを作って準備しておくことを勧めています。
テトラ・テックの株価が大幅に下がっても売らずに買い増しするのは、事業やこれまでの業績を分析した結果、今後また株価が上がっていくという強い確信を持っているからでしょう。
ジム・クレイマーの評判をXで調査した結果
ここでは、Xに投稿されたクレイマ―氏についての口コミから、評判を解説。
結論からいうと、クレイマー氏の推奨銘柄は外れてしまうことが多く「逆神(予想がことごとく外れる人)」としてネガティブな評価をされていることがわかりました。
良い口コミ
ここでは、良い口コミを3つ紹介します。
①ジムクレイマー次第
②ジムクレイマーの意見に忠実
③ジムクレイマーの番組を見ている
全体的にジム・クレイマーについて良い口コミは少ない印象を受けました。
推奨銘柄については参考にならないといった意見が多数。
しかし、米国株やIT業界のトレンドを掴むために、クレイマー氏の番組を見て学んでいるといった口コミがありました。
分かりやすい説明や、おさえるべきポイントをまとめた解説は、個人投資家が米国株式について勉強するには良い教材になるでしょう。
悪い口コミ
ここでは、悪い口コミを3つ紹介します。
①逆神
②推奨銘柄と逆の動き
③売りアルゴリズム
クレイマー氏は個別銘柄の「売り/買い」のタイミングを断言するので、その予測が外れた際にはネット上がざわつきます。
悪い口コミには、「疫病神」「逆神」と言って揶揄する投稿が。
しかし、クレイマー氏も1人の人間であり、銘柄予測には当たり外れがあります。
彼が発信する情報すべてを鵜呑みにするのではなく、他の投資家の意見も参考にしたり、自分なりに銘柄を調べたりしたうえで投資する必要があるでしょう。
現在は「逆神」などのネガティブな評価が多い
著書や出演番組に対する評価は良いものの、現在クレイマー氏の推奨銘柄は外れることが多いため、ネガティブな評価が多い印象を受けました。
個別投資家の中には「クレイマー氏の推奨した銘柄は下がる」と思い込み、クレイマー氏が「上がる」と発信した途端に「売り」を出す人もいるようです。
良い意味でも悪い意味でも、クレイマー氏の発言は世界中の個人投資家たちに大きな影響を与えています。
ジム・クレイマーは参考になる?
ここまで調査した結果をふまえ、米国株の投資をする際にジム・クレイマー氏の情報を参考にするのはおすすめしません。
最近の推奨銘柄の成績が悪く、投資家たちの中にはクレイマー氏が推奨した途端に手放す人も多くいるようで、相場が予想外な方向に動く可能性があるからです。
しかし、長期投資にこれからチャレンジする方に向けて、彼の著書はおすすめ。
銘柄分析がいかに大事なのかが初心者にも理解できるレベルで書かれているので、ストレスなく読み進められるでしょう。
またアメリカの社会情勢の動きやトレンド、米国株について勉強したい人は、彼が出演する番組を見て勉強すると良いでしょう。
これから株式投資をする方や米国株に興味のある方にとって、参考になれば幸いです。